気管支喘息(2014.2.1)

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son_new8.jpg曽 碧光

米国中医薬研究所所長

1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、
第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。


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気管支喘息
       

Q : 10歳の男の子ですが、気管支喘息と診断され、ステロイド剤を使って治療しています。
しかし、ステロイド剤は体に悪い影響を与える副作用があると聞いていますので、ほとんど副作用のない漢方療法を使いたいと思っています。気管支喘息の漢方療法がありましたらお教えください

 
A : 気管支喘息はアレルギーによることが多いと考えられています。

アレルギーは過敏症とも言い、体の免疫反応が敏感になりすぎて、体内組織に損傷を与えて起こるものです。

気管支喘息は気管支がいろいろな刺激に対して過敏に反応し、気管支が痙攣 (けいれん) したり、粘膜が腫れたり、粘液の分泌が増えたりするために、気管支が狭くなって発作を起こすものです。

喘息の西洋医学治療法は、喘息発作を鎮めるために、免疫機能を抑える作用のあるステロイド剤を使用する以外によい方法がありません。

ステロイド剤を長く使うと、病気に対する抵抗力の低下、骨粗鬆症、消化性潰瘍、うつ病、高血圧、糖尿、多毛、皮膚疾患などの副作用に苦しめられることになります。

 喘息は漢方医学、西洋医学療法ともに、なかなか治療の難しい病気ですが、漢方療法の方が全治に近い効果が現れている例が多いのは、漢方薬に気管支の痙攣、収縮を起こしやすい体質を改善する効果があり、免疫機能を調整する作用があるからです。

 喘息の漢方療法に葛根治鼻湯と黄連解毒湯の併用がよく使われています。

葛根治鼻湯は葛根湯に辛夷と川芎を加えた処方で、アレルギー性鼻炎に小柴胡湯と併用してよく使われている漢方薬です。

葛根治鼻湯が気管支喘息によく使用されているのは、喘息発作を引き起こすアレルギー起因である花粉などの物質をいち早く体内から排除する効果があるからです。

 黄連解毒湯を葛根治鼻湯と併用する理由の一つとして、葛根治鼻湯は乾咳 (からぜき) に有効ですが、ひどく粘っこい痰に対して切れがよくないので、去痰作用の強い黄連解毒湯を一緒に使うことによって、この欠点を補うことができます。

また、黄連解毒湯は抗炎症、抗アレルギー作用が強く、喘息によく効く成分としてバイカレインとバイカインが黄連解毒湯の構成生薬黄芩から分離されています。

 ステロイド剤を使っている患者さんには、ステロイド離脱作用のある小柴胡湯を併用してステロイドを減量しつつ、漢方療法に移行した方が良策と思います。勿論、発作の時だけ、即効性のある西洋薬を使い、長期服薬に副作用の少ない漢方薬を使うのが最善の治療法と考えられます。


 
(2014年2月1日号掲載)      

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