曽 碧光
米国中医薬研究所所長
1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。
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花粉症 | |||
Q : 35歳の女性ですが、花が咲き乱れる春のシーズンになると、目が充血し、涙がひっきりなしに出て、くしゃみ、鼻水に悩まされています。 抗ヒスタミン剤は一時的にこれらのアレルギー症状を抑えることができますが、薬を止めるとアレルギーが再発し、抗ヒスタミン剤の量も増やさないと効かなくなりました。 また、抗ヒスタミン剤を服用すると、頭がボーッとしてスッキリしないので車の運転に危険を感じます。 花粉症の予防と治療の漢方をお教えください。
A : 花粉症はアレルギー性鼻炎とも呼ばれています。 アレルギーは過敏症とも言い、平常害のない免疫反応が過敏になり過ぎて体内組織に損傷を与えるために起こるもので、一般にヒスタミンなどの化学物質か免疫グロブリンEが関与しています。 アレルギー疾患に抗ヒスタミン剤がよく使われているのもこのためです。 従って、アレルギー疾患を治療する漢方に抗アレルギー効果を持っている生薬が含まれているのは言うまでもありません。 花粉症の起こるシーズン始めに葛根湯を服用すると、花粉症の症状を和らげて軽くすることができます。 これは葛根湯にいち早く花粉を体内から排除する作用があるからです。 従って、花粉症シーズンが始まる2週間前に葛根湯を服用し始めると、花粉症に入っても軽い症状しか起こらないので、ある程度の予防は期待できます。 花粉症の漢方治療として葛根治鼻湯と小柴胡湯の併用が広く使われています。 小柴胡湯は肝炎によく使われている漢方ですが、近年来、免疫増強剤として感冒予防にも使われています。 花粉症患者の治療結果によると、葛根治鼻湯の単独使用よりも、小柴胡湯と一緒に使った方が治療効果が倍増し、花粉症が治ったという例もあるので、花粉症の治療には葛根治鼻湯と小柴胡湯の併用を強くおすすめします。 |
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(2013年4月1日号掲載) |