総合ビタミンは心臓疾患の予防効果がない(2012.12.1)

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son_new8.jpg 曽 碧光

米国中医薬研究所所長

1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、
第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。


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総合ビタミンは心臓疾患の予防効果がない

Q : 私は55歳の女性ですが、更年期以降の女性に心臓病が急増しているので、同じ年配の友人たちは、皆心臓病の予防に総合ビタミン(Multivitamins)を服用しています。

総合ビタミンが心臓病を予防できたという医学報告はあるのでしょうか。

また、心臓病予防にどの漢方が良いのでしょうか。


 

A :   2012年11月5日に行われた米国心臓医学会で、総合ビタミンの服用は
心臓疾患の予防には役立たないと発表されました。

ボストンにあるハーバード大学付属病院、ブリグハム婦人病院のハワード・セッソー博士らは、15,000人の健康な医師たちを対象に、総合ビタミン服用グループと総合ビタミンを服用していないグループに分けて11年も調査した結果、この両グループのハートアタック、脳卒中、胸痛、心不全などの心臓疾患を患った割合には変わりはないと報告しました。

この中でfish oilも心臓疾患に役立たないと指摘されています。

これらの結果から、心臓病予防には禁煙して脂肪やカロリーの高い食事を控え、減量に努めてエクササイズすることが総合ビタミンを服用するよりも良い予防法だと心臓病専門家は薦めています。

更年期以降の女性に心臓病が急増するのは、エストロゲンの減少によってコレステロールが急増するからだと考えられています。

従って、心臓疾患の予防にはコレステロールと中性脂肪を下げる漢方である霊芝降脂健心湯がよく使われています。

霊芝降脂健心湯の構成生薬のひとつである霊芝は心筋梗塞、脳卒中などの症状にも使われ、丹参という構成生薬には狭心症や虚血性心臓病に有効な成分、タンジノンが確認されています。

無論、他の構成生薬は皆コレステロール降下作用があるほかに、降血圧、降血糖作用があるので、心臓病予防に役立っています。

また、更年期以降の女性に心臓病が急増しているのは、エストロゲンの減少によると考えられているので、エストロゲン効果のある当帰芍薬散を併用すると予防効果が倍増します。

 

 
(2012年12月1日号掲載)

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